高校を卒業するあたりから、よく思った。
誰も刻んでくれない。
入学式も、運動会も、夏の大会も、終わりのチャイムもない。
2000年に、2006年に自分は何をしていた?
自分が過去に何をしていたか思い出せるものを、誰も作ってくれない。
自分で刻んでいく。
土地、人、音楽、文字、写真にそのときの自分をのせる。
新しい場所を目指して、新たな出会いを求めて、聞いたことがない曲を聞いて、新たな思いを言葉にのせて、新たにみとれた景色を写真におさめる。
昔いた場所に戻って、昔知り合った人に会って、昔聞いた曲をセットして、昔選んだ言葉を読んで、昔とった写真をながめる。
昔自分がそこにいたことを教えてもらう。
自分が過去に何をしていたか思い出せるものを、自分で作っていく。
そうやって、立ち止まる。
そうやって、生きていく。
そうやって、思い出せるものを刻みこんでいく。
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